MYCOM PC WEB:幾何光学の新しい方程式を発見 - 「光ホール効果」について聞く

もしですね、アップスピンの電子とダウンスピンの電子が同じ方向に流れたら、これは電流を運びます。ところがアップスピンのものと、ダウンスピンのものが別方向に、逆方向に動いたとしますよね。そうすると、電流は運ばないわけです。電子は常に-eの電荷を持っていますから、打ち消しあうわけです。ところがスピンだけ見ると、スピン流というものが存在します。このスピン流が電子系で起こる、つまり電圧をかけると、それに垂直にスピンの流れができる、ということを予言しました。それは最近実験も出始めて、スピンホール効果と呼ばれています。これはスピントロニクスという新しい分野なのですが、半導体レベルで、電子のスピンを用いて演算を起こすという、コンピュータの新しい原理を作ろうという研究です。その研究をやっている中で、実はこれを思いついたんです。我々は電子物性をずっとやっていて、それを光に翻訳したら何が起こるかということを考えた過程で出てきたのが、今回の成果です。